トリガーハッピー・薬物依存症

今、僕らは物語をサプリとして摂取する。例えば、ネットの掲示板に書かれた、不幸にもパートナーを失った誰かの書き込みを読んだ後、隣にいる誰かを大事にしようと誓う。そのように、自分を奮い立たせるために、読む。癒しと感動を求めて読む。そうすることで僕らの現実が掛け替えのないものになるなら、それは意味の有ることだろう。
今、僕らは物語を生贄として殺生する。例えば、失恋の悲しみからピストル自殺を成し遂げる誰かの手記を書いた後、自分の失恋から距離をおく。そのように、自分が生き長らえるために、書く。死と絶望を逃れて書く。そうすることで僕らの幻滅が掛け替えのあるものになるのなら、それは意味の有ることだろう。
僕らが自らの頭から逸らして放った弾丸、それはウェルテルの頭蓋から飛び出して、大口を開け待つ僕らの生命活動を止めるかもしれない。弾薬と丸薬が交わり、薬剤師も弁護士も居なければ処方箋も判決文もなく、用法用量も情状酌量もない。